デザイナー・猿山修さんと竹田市在住クリエイターとの協働プロジェクト「猿竹工芸商會」。
■デザイナー・猿山修×竹田市在住クリエイター協働プロジェクト「猿竹工芸商會」
http://www.taketaartculture.com/tac2017_map06/
今年2018年10月の新作発表に向けて、2018年1月31日から2月2日まで、猿山修さんと山本千夏さんが竹田に滞在、参加クリエイターが制作した試作品に対するアドバイス等をしました。
2018年1月31日
参加クリエイターの拠点を訪問し、試作品に対してアドバイス等を行う1-2月の滞在。
最初の訪問拠点は、「WARAUHANA」中村秀利さんです。
次に向かったのは、モビールを制作中の、西村和宏さんの「へそラボ」へ。
「さる山」で揺れているモビールをベースに、プロダクトとして生み出します。
実際に組み立ててみたり・・・
2018年2月1日
雪が舞い降りる中、「月函」へ。
節分にちなんだ和菓子が、「月函」を主宰する陶芸家・中西美香さんのうつわに載って。
あたたかなお迎えをいただいてスタートしました。
図面を見ながら、細かな部分の確認をします。
2箇所めは、革作家の”paisano”小河眞平さんのアトリエがあるTSG竹田総合学院へ。
TSG竹田総合学院を後にして、3箇所めは、「木暮らし舎」豊田豪史さんのアトリエがある城原エリアへ。
町中から離れた場所なのもあり、アトリエ周辺は真っ白な雪景色!
この日のアトリエ訪問はここまで。
夕方以降は、山本千夏さんによるミニレクチャー「猿竹工芸商會ミニレクチャー第1回モノを売るとは」を初開催しました。
会場の「たけたから」の内装デザインには、本プロジェクトディレクションをつとめるOlectronica[オレクトロニカ]も参画しています。
多くのみなさまのご来場、ありがとうございました。
ミニレクチャーの後は、近くの別会場で懇親会を開催し、2日めを終了しました。
2018年2月2日
最後の訪問アトリエとなる、久住高原エリアにある「吹きガラス工房 Magma Glass Studio」へ。
工房からは、雪景色が広がります。
試作品をみながら、工房を主宰する井上愛仁さんと、細部の確認をします。
実際に作っていただきました。
昨年から今年にかけての冬は、とりわけ寒い冬でしたね。
2018年1月26日〜28日で、キュレーター・花田伸一さんが来竹、参加アーティスト全員参加のミーティングを行ったり、作品展開会場候補となる場所のロケハン等を行いました。
■キュレーター・花田伸一×竹田市在住アーティスト協働プロジェクト
http://www.taketaartculture.com/tac2017_map07-2/
2018年1月26日
1月の来竹で、まず行ったのが、参加アーティスト全員参加のミーティングです。
ミーティングに集中できるよう、エアコン環境が整っている、まちづくりたけた株式会社”アグル”会議室をお借りしました。
参加アーティストから、当時時点の作品”ドリーム”プランを発表し意見交換、花田さんから「昼と夜」というテーマが提示されました。
2018年1月27日
翌日午前中からTSG竹田総合学院では「TAKETAものづくり塾」(主催:竹田市)が開催されていたので、視察参加しました。
終了後は、「TAKETAものづくり塾」ゲストと一緒に、TSGにアトリエをかまえる作家さんたちのアトリエを見学しました。
竹作家の中山秀斗さんのアトリエを訪れました。
お昼ごはんは、参加アーティストの森貴也さんや、大分県芸術文化スポーツ振興財団アーツラボラトリー室長の三浦宏樹さんと一緒に、城下町エリアにある”さふらんごはん”で。
いただきます!
この日の小鉢はこんな感じでした。
“さふらんごはん”では、竹田の地元の食材を使ったお料理を楽しむことができます。
お母さんが作ることができるものは、全て手づくり!
ごはんは、竹田が全国シェア8割超となるサフランで、真っ黄色です。
お昼ごはんを食べたあとは、城原神社周辺へ。
秋の会期中に、城原神社の大祭が行われます。
城原エリアを後にし、ごとう姫だるま工房へ。
姫だるまのことなどなど、工房のお父さんからお話を伺いました。
城下町エリアに戻って、作品展開候補地のロケハンスタートです。
但馬屋老舗本店となりの、秋山巌美術館。
アートスペースとして、作品展示が行われているほか、音楽ホールとしても活用されています。
と思ったら、早速、スペースに置いてあったピアノを弾きはじめる花田さん・・・
同じく、作品展示会場や音楽ホールとして活用されているアートスペース、アラヤサーラへ。
瀧廉太郎記念館近く、”廉太郎トンネル”となりにあります。
2018年1月28日
「galley傾く家」の近くにある光西寺の副住職、相良義和さんにお時間を頂戴し、お話しました。
アートカルチャーの発起人で、参加アーティストでもあるOletctornica[オレクトロニカ]が、竹田に移住して間もない時期に制作した象がありました。
お寺でもピアノを見つけて、もちろん・・・
光西寺近くの十六羅漢や、国指定重要文化財の愛染堂を訪れ・・・
江戸時代、岡藩を治めた中川氏の墓地が併設している「おたまや公園」を訪れ、1月の花田さん竹田滞在は終了しました。
デザイナー・猿山修×竹田市在住クリエイター協働プロジェクト
「猿竹工芸商会」ミニレクチャー
第一回:「モノを売るとは」ギャラリー業の考え方と実際の流れ
2018年10月の新作発表を目指し、竹田市在住クリエイターとのプロダクト開発のみならず、流通・販売を含めて展開中の、デザイナー猿山修×竹田市在住クリエイター協働プロジェクト「猿竹工芸商会」。
プロジェクトの一環として、ゲストの山本千夏さんを講師に迎えたミニレクチャーを行うことにしました。
テーマは「モノを売ること」。「考え方」と「実務」について、参加のみなさまとコミュニケーションを図りながらの実施を考えています。
ぜひご参加ください。
第一回:「モノを売るとは」ギャラリー業の考え方と実際の流れ
日時:2018年2月1日(木)17:30-18:30 ※終了予定
会場:たけたから(大分県竹田市大字竹田町233-1)
参加費:500円
参加方法:e-mail( taketaartculture@gmail.com )で、【お名前/お名前(ふりがな)/e-mailアドレス/昼間繋がる電話番号(携帯電番号等)】をお知らせください。
■講師プロフィール:山本千夏(やまもとちなつ)
1980年生まれ。 工芸等を扱うGallery Yamamoto(栃木県野木町)にて企画運営を行う。 猿山修主宰の「ギュメレイアウトスタジオ+さる山」では、広報、企画運営等、幅広く担当。 執筆も行う。
■デザイナー・猿山修×竹田市在住クリエイター協働プロジェクト「猿竹工芸商会」とは
http://www.taketaartculture.com/tac2017_map06/
2017年9月現在、人口22,000人ほどの大分県竹田市には、市の移住促進策もあり、約40名のクリエイターが移住、作品を生み出しながら暮らしています。ひとつの作品やプロダクトが生み出されるまでに辿るプロセスは、クリエイターにより、それぞれ異なります。2018年秋の新作発表等をはじめとした、デザイナー・猿山修と山本千夏をゲストにスタートする、竹田市在住クリエイターとの協働プロジェクトです。新作制作のみならず、流通・販売を含めたプロジェクト、多くの方々と進めていきたく考えています。
□参加クリエイター:井上愛仁(ガラス作家/ガラス工房「Magma Glass Studio」主宰)、小河眞平(革作家/「paisano」主宰)、豊田豪史(木工芸作家/「木暮らし舎」主宰)、西村和宏(「WIRES」主宰)、中西美香(陶芸家/「月函」店主)、中村秀利(「WARAUHANA」店主)
■今後のミニレクチャーの予定
参加のみなさまとのやりとり等により、変更の可能性があります。
ご参考ください;
4月:契約書、請求書、在庫管理/商品管理の仕方など
7月:ラッピング/ディスプレイ
10月:企画展をイチからつくる。
□プロジェクトディレクション:Olectronica[オレクトロニカ]
□主催:竹田アートカルチャー実行委員会
www.taketaartculture.com
TAKETA ART CULTURE 2017会期中の、10/14(土)と15(日)の午後それぞれ、「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」を開催しました。
レポートを、【上】【中】【下】【番外】の4本立てで、お届けします。
本ページは最終4本め、【番外】です。
今回のツアーは、「TAKETA ART CULTURE 2017をアレックス・カーさんの視点でめぐる」というのが大きなテーマでした。
アートや日本文化、おもてなしに精通しているアレックスさんが、これだけで満足するわけがありません。
ディナーは、アレックスさんの監修。
場所選びからメニューまで、事前の視察を経て考案していただきました。
会場は、「岡藩の迎賓館」として使用されてきた御客屋敷。
内装のしつらえも、通常とは異なり、アレックスさんのこだわりが反映されています。
例えば、料理を出す机は、竹田市在住の書家で、ディナータイムのアレックスさんとのコラボレーターでもある草刈淳さんのアイデアを生かし、素材感あふれる木を使用。
灯もなるべく暗くし、竹田らしい風情や音を感じられるように。
お料理は、「割烹一竹」による、竹田素材をふんだんに用いた郷土料理。
しつらえに割烹一竹の料理長も興奮され、一生懸命に盛り付けしてくださいました。
いよいよ宴の始まり。
アレックスさん渾身のふるまいに、参加者のみなさんも目を輝かせていました。
竹田の地ビールでの乾杯の後、アレックスさんを囲んでの賑やかな夕食。
ツアーの感想や、ツアーに参加した動機、アレックスさんへの想い・・・。
そして自然と各自が自己紹介をする流れになり、一体感のある素敵な宴となりました。
そんな夢のような時間もクライマックス。
アレックスさんがおもむろに立ち上がり、部屋の奥に設けられた小スペースへ移動。
書家・草刈淳さんと一緒に、書道パフォーマンスを披露する時がきました。
2人が掛け合いをしながら、気が済むまでアレックスさんが書くという趣向。
「お酒が進むと書も進みます」と、ワイングラスをそばに置き、次々と書き上げるアレックスさんの姿に参加者みな飲まれていました。
アートを愛し、日本文化を愛し、そして周りを楽しませるために渾身のパフォーマンスを見せてくださったアレックス・カーさんに、今あらためて、御礼申し上げます。
※【上】【中】【下】も、是非お楽しみください。
文:藪内成基
写真:藪内成基、山下歩、吉峰拡、堀場さくら
「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」開催概要
[参加者募集:10/14・15]アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー
田能村竹田や瀧廉太郎を輩出した大分県竹田市には、今なお、偉大な先人の感性を育んだ豊かな自然と城下町の風情が残されています。
昨今は、多くの工芸家や芸術家が移住し、新たな創造の場が形成されています。
2011年秋の初開催から毎年展開し、今年で7年めとなる「TAKETA ART CULTURE [TAC]」には、市内外の作家が一堂に介し、城下町エリア各所にてさまざまな企画が催され、多くの来場者が訪れています。
今回は、竹田市の歴史・文化やまちづくりの現場にも造詣の深いアレックス・カー氏をガイドに招き、城下町とアートをともに楽しむ”まちあるき”アートツアーを実施しました。
[開催日]2017年10月14日(土)・15日(日) ※TAKETA ART CULTURE 2017会期中
[タイムスケジュール]
13:00 JR豊後竹田駅集合
15:00 休憩
18:00 ディナー ※アレックス・カー氏による書道パフォーマンス有り
20:00 現地解散
[アレックス・カー プロフィール]
1952年生まれ。イエール大学で日本学を専攻。東洋文化研究家、作家。
1971年に四国の東祖谷山村に茅葺きの古民家を購入。現在は京都・亀岡の矢田天満宮境内に移築された400年前の尼寺を改修して住居とし、そこを拠点に、日本各地をまわり、昔の美しさが残る日本各地の景観を観光に役立てるためのプロデュースを行っている。
著書に『美しき日本の残像』(新潮社)、『犬と鬼』(講談社)、『「日本ブランド」で行こう』(ウェイツ)など。
[主催] 竹田アートカルチャー実行委員会
TAKETA ART CULTURE 2017会期中の、10/14(土)と15(日)の午後それぞれ、「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」を開催しました。
レポートを、【上】【中】【下】【番外】の4本立てで、お届けします。
本ページは、【上】【中】に続いての3本め、【下】です。
竹田を代表する甘味で鋭気を回復させ、再スタート。
一見、ギャラリーには見えない3階建ての建物が次の目的地でした。
看板には、「馬場家具」。
空きスペースになっており、今後の活用法が期待されている建物です。
フロアごとにアーティストの展示があり、1階に森貴也さんの彫刻、2階に森山楓さんの絵画、3階に山本哲也さんのインスタレーション。
「森貴也・森山楓・山本哲也 3人展〜彫刻・絵画・インスタレーション〜」展です。
ともに竹田に移住してきた3名が、竹田で暮らしながら作品制作をしています。
三者三様の作品に、アレックス・カーさんも参加者もみな興味の方向が異なり、それぞれに気になるアーティストや作品と交流を深めていました。
「ここからは少し歩きます。雨に負けずにがんばりましょう」。
旧馬場家具を後にし、現在工事中の竹田市立歴史資料館の脇にある径を登り、緑葉のモミジに覆われた風情ある道を歩きます。
そして右手に見えてきた立派な建物の前で、アレックスさんは力説します。
「ここが文人画家・田能村竹田の家です。ツアーの始めに銅像を見たのを覚えていますか?竹田を代表するクリエイターであり、藩医でもありました」。
アレックスさんお気に入りの空間、旧竹田荘は、竹田に現存する武家屋敷の中で唯一公開している武家屋敷です。
旧竹田荘を過ぎると、本格的に武家屋敷が並ぶ「殿町武家屋敷通り」に入ります。
武家屋敷の入口近くには「古田」の表札。
竹田は茶人武将・古田織部ゆかりの地でもあります。
千利休の一番弟子であり「へうげもの」の愛称で知られた稀代のクリエイター。
今も「織部焼」に名が残ります。
織部の末裔が、城下町竹田の主要な家老として岡藩に尽くしたのです。
殿町武家屋敷通り半ばに狐の石像。脇道に逸れて径を歩くと、突如現れたのが大きな五角形の洞窟。
日本で最後に宣教師が匿われ、しかも江戸時代の禁教期に彫られたとされるキリシタン洞窟礼拝堂です。
その存在感とともに、武家屋敷通りほど近くという立地に一同驚きを隠せませんでした。
アートやキリシタンの足跡に会話を弾ませながら、今回のツアーもいよいよ終盤戦。
県立竹田高校近く、正門の並びの静かな場所にたたずむ「coto」に到着です。
coto 素物と喫茶 作品展「寂」が行われていました。
闇に包まれた空間の中に、尾込真貴子さんの作品が並びます。
奥には喫茶スペースもあり、独特の雰囲気に包まれた空間に、参加者も引き込まれました。
改装を、「coto」店主の尾込真貴子さんとともに手掛けたのは、空間デザイナーの草刈淳さん。
草刈さんは書家としての顔ももっています。
そんな草刈さんの作品にふれられる「クサカリコウボウ」が、今回のツアーの最終地。
cotoからほど近く、草刈さんに先導され、工房へ移動しました。
工房の1階では、力作と一緒に高校生たちがお出迎えしてくれました。
竹田高校書道部・釘宮彩・仲道裕馬・草刈樵峰「書くということ」の、竹田高校書道部のみなさんです。
2階の制作現場は、書道具が所せましと並べられ雰囲気ある空間。
草刈さんがおっしゃるには、貴重な道具も紛れているとのこと。
参加者も目を輝かせながら、書の空間を愉しんでいました。
そして、竹田高校書道部のみなさんの、真剣な制作風景。
恥ずかしそうながら自己紹介するものの、次第に言葉に熱がこもり、書道への情熱がひしひしと伝わってきました。
竹田高校の「アーティスト」とふれあえたことも、TAKETA ART CULTUREの大きな収穫でした。
TAKETA ART CULTURE 2017をめぐるツアーはここで終了。
名残惜しそうに城下町を歩き、御客屋敷前。
実はここで終わりではなく、アレックスさん監修の夕食ディナーを御客屋敷でふるまいます。
期待を膨らませつつ、準備のためしばしの解散となりました。
※【上】【中】【下】と進み、次はいよいよ最終4本め、【番外】です。
文:藪内成基
写真:藪内成基、堀場さくら、山下歩、吉峰拡
「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」開催概要
[参加者募集:10/14・15]アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー
田能村竹田や瀧廉太郎を輩出した大分県竹田市には、今なお、偉大な先人の感性を育んだ豊かな自然と城下町の風情が残されています。
昨今は、多くの工芸家や芸術家が移住し、新たな創造の場が形成されています。
2011年秋の初開催から毎年展開し、今年で7年めとなる「TAKETA ART CULTURE [TAC]」には、市内外の作家が一堂に介し、城下町エリア各所にてさまざまな企画が催され、多くの来場者が訪れています。
今回は、竹田市の歴史・文化やまちづくりの現場にも造詣の深いアレックス・カー氏をガイドに招き、城下町とアートをともに楽しむ”まちあるき”アートツアーを実施しました。
[開催日]2017年10月14日(土)・15日(日) ※TAKETA ART CULTURE 2017会期中
[タイムスケジュール]
13:00 JR豊後竹田駅集合
15:00 休憩
18:00 ディナー ※アレックス・カー氏による書道パフォーマンス有り
20:00 現地解散
[アレックス・カー プロフィール]
1952年生まれ。イエール大学で日本学を専攻。東洋文化研究家、作家。
1971年に四国の東祖谷山村に茅葺きの古民家を購入。現在は京都・亀岡の矢田天満宮境内に移築された400年前の尼寺を改修して住居とし、そこを拠点に、日本各地をまわり、昔の美しさが残る日本各地の景観を観光に役立てるためのプロデュースを行っている。
著書に『美しき日本の残像』(新潮社)、『犬と鬼』(講談社)、『「日本ブランド」で行こう』(ウェイツ)など。
[主催] 竹田アートカルチャー実行委員会
TAKETA ART CULTURE 2017会期中の、10/14(土)と15(日)の午後それぞれ、「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」を開催しました。
レポートを、【上】【中】【下】【番外】の4本立てで、お届けします。
本ページは、【上】に続いての2本め、【中】です。
江戸時代の歴史情緒残る石畳。
「八幡川横丁」は、アレックス・カーさんのお気に入りの通りです。
ご自身のスマートフォンで通りを撮影しながら、通り沿いの蔵の前で立ち止まりました。
「ここは昔、米蔵であり、銭湯にもなりました。入ってみましょう」と国の登録有形文化財の建物を生かした「大蔵清水湯」さんの中へ。
外観は蔵なのに中に入ると昭和時代の銭湯。アレックスさんの言葉が蘇ってきます。
そんな建物とよく合っていたのが写真家・鹿野貴司さんによる写真展「たけたのひと、たけたのいろ。」。
鹿野さんは今夏、大分県竹田市に滞在、市民の日常やものづくりの光景を撮られた写真が展示されていました。
「岡藩の迎賓館」御客屋敷や、ぽっくり地蔵、十六羅漢と雰囲気ある史跡に、アレックスさんの説明に足を止めながら、ふとたどりついた小さな家。
中から出てきたのは全身黒色の服をまとった長身長髪の男性。
ただ者ではないと参加者に一瞬緊張感が走りましたが、男性はとても柔和に自己紹介をはじめ、一気に緊張感がほぐれました。
今回のTAKETA ART CULTURE 2017に、東京から参加されているデザイナー・猿山修さんです。
職人や工場ともに作り上げる器やカトラリーは、シャープに洗練されたデザインの中にも手仕事ゆえの優しい表情を感じることができます。
アレックスさんも参加者も真剣な表情でプロダクトを眺め、早速購入されている参加者もいらっしゃいました。
実は来秋に向けて、猿山さんと竹田市在住クリエイターが協働して新作制作から流通、販売に至るプロジェクトを予定しています。
■デザイナー・猿山修 × 竹田市在住クリエイター 協働プロジェクト
http://www.taketaartculture.com/tac2017_map06/
期待に胸膨らむ見学となりました。
猿山さんの雰囲気ある空間の隣には、TAKETA ART CULTUREの聖地ともいうべき傾いた家。
その名も「gallery傾く家」があります。
「傾く家」は、竹田に移住してきた美術ユニット・オレクトロ二カが運営するギャラリーです。
アレックスさんもオレクトロ二カの作品がお気に入りで、参加者に作品の特徴を説明されました。
「傾く家」には、普段見かけない木製のコーヒードリッパーやカップ、花器、バターケース、ブローチも並んでいました。
聞くと、鹿児島県美山でカフェ「夏の庭」を営む木工作家、吉田耕平さんの作品。
「吉田耕平とオレクトロニカ 作品展」です。
吉田耕平さんの作品は、北欧雑貨を思わせる温かみあふれる生活雑貨でした。
「傾く家」を出ると、間もなく「瀧廉太郎記念館」です。作曲家・瀧廉太郎が多感な時期に過ごした屋敷跡です。
先にある小さなトンネルを通ると突如流れる『荒城の月』のメロディー。
「廉太郎トンネル」とよばれるトンネルで、参加者も大盛り上がり。
廉太郎も竹田を代表するアーティストの一人。
廉太郎がかつて荒城の月の舞台、岡城へ駆けたとされる上町通りを歩きながら、通り沿いの和菓子店「但馬屋老舗」に入りました。
文化元年(1804年)創業の歴史ある和菓子店で銘菓「荒城の月」と「三笠野」をいただき、しばしの休息をとりました。
※【上】から始まり、【下】【番外】に続きます。
文:藪内成基
写真:藪内成基、堀場さくら、山下歩
「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」開催概要
[参加者募集:10/14・15]アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー
田能村竹田や瀧廉太郎を輩出した大分県竹田市には、今なお、偉大な先人の感性を育んだ豊かな自然と城下町の風情が残されています。
昨今は、多くの工芸家や芸術家が移住し、新たな創造の場が形成されています。
2011年秋の初開催から毎年展開し、今年で7年めとなる「TAKETA ART CULTURE [TAC]」には、市内外の作家が一堂に介し、城下町エリア各所にてさまざまな企画が催され、多くの来場者が訪れています。
今回は、竹田市の歴史・文化やまちづくりの現場にも造詣の深いアレックス・カー氏をガイドに招き、城下町とアートをともに楽しむ”まちあるき”アートツアーを実施しました。
[開催日]2017年10月14日(土)・15日(日) ※TAKETA ART CULTURE 2017会期中
[タイムスケジュール]
13:00 JR豊後竹田駅集合
15:00 休憩
18:00 ディナー ※アレックス・カー氏による書道パフォーマンス有り
20:00 現地解散
[アレックス・カー プロフィール]
1952年生まれ。イエール大学で日本学を専攻。東洋文化研究家、作家。
1971年に四国の東祖谷山村に茅葺きの古民家を購入。現在は京都・亀岡の矢田天満宮境内に移築された400年前の尼寺を改修して住居とし、そこを拠点に、日本各地をまわり、昔の美しさが残る日本各地の景観を観光に役立てるためのプロデュースを行っている。
著書に『美しき日本の残像』(新潮社)、『犬と鬼』(講談社)、『「日本ブランド」で行こう』(ウェイツ)など。
[主催] 竹田アートカルチャー実行委員会