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2017-12-06

[report]アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー【下】[10/14・15開催]

TAKETA ART CULTURE 2017会期中の、10/14(土)と15(日)の午後それぞれ、「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」を開催しました。
レポートを、【】【】【下】【番外】の4本立てで、お届けします。
本ページは、【】【】に続いての3本め、【下】です。

竹田を代表する甘味で鋭気を回復させ、再スタート。

一見、ギャラリーには見えない3階建ての建物が次の目的地でした。
看板には、「馬場家具」。
空きスペースになっており、今後の活用法が期待されている建物です。

フロアごとにアーティストの展示があり、1階に森貴也さんの彫刻、2階に森山楓さんの絵画、3階に山本哲也さんのインスタレーション。
森貴也・森山楓・山本哲也 3人展〜彫刻・絵画・インスタレーション〜」展です。

ともに竹田に移住してきた3名が、竹田で暮らしながら作品制作をしています。
三者三様の作品に、アレックス・カーさんも参加者もみな興味の方向が異なり、それぞれに気になるアーティストや作品と交流を深めていました。

「ここからは少し歩きます。雨に負けずにがんばりましょう」。
旧馬場家具を後にし、現在工事中の竹田市立歴史資料館の脇にある径を登り、緑葉のモミジに覆われた風情ある道を歩きます。
そして右手に見えてきた立派な建物の前で、アレックスさんは力説します。
「ここが文人画家・田能村竹田の家です。ツアーの始めに銅像を見たのを覚えていますか?竹田を代表するクリエイターであり、藩医でもありました」。
アレックスさんお気に入りの空間、旧竹田荘は、竹田に現存する武家屋敷の中で唯一公開している武家屋敷です。

旧竹田荘を過ぎると、本格的に武家屋敷が並ぶ「殿町武家屋敷通り」に入ります。
武家屋敷の入口近くには「古田」の表札。
竹田は茶人武将・古田織部ゆかりの地でもあります。
千利休の一番弟子であり「へうげもの」の愛称で知られた稀代のクリエイター。
今も「織部焼」に名が残ります。
織部の末裔が、城下町竹田の主要な家老として岡藩に尽くしたのです。

殿町武家屋敷通り半ばに狐の石像。脇道に逸れて径を歩くと、突如現れたのが大きな五角形の洞窟。
日本で最後に宣教師が匿われ、しかも江戸時代の禁教期に彫られたとされるキリシタン洞窟礼拝堂です。
その存在感とともに、武家屋敷通りほど近くという立地に一同驚きを隠せませんでした。

アートやキリシタンの足跡に会話を弾ませながら、今回のツアーもいよいよ終盤戦。
県立竹田高校近く、正門の並びの静かな場所にたたずむ「coto」に到着です。
coto 素物と喫茶 作品展「寂」が行われていました。
闇に包まれた空間の中に、尾込真貴子さんの作品が並びます。

奥には喫茶スペースもあり、独特の雰囲気に包まれた空間に、参加者も引き込まれました。

改装を、「coto」店主の尾込真貴子さんとともに手掛けたのは、空間デザイナーの草刈淳さん。

草刈さんは書家としての顔ももっています。
そんな草刈さんの作品にふれられる「クサカリコウボウ」が、今回のツアーの最終地。
cotoからほど近く、草刈さんに先導され、工房へ移動しました。
工房の1階では、力作と一緒に高校生たちがお出迎えしてくれました。
竹田高校書道部・釘宮彩・仲道裕馬・草刈樵峰「書くということ」の、竹田高校書道部のみなさんです。

2階の制作現場は、書道具が所せましと並べられ雰囲気ある空間。
草刈さんがおっしゃるには、貴重な道具も紛れているとのこと。
参加者も目を輝かせながら、書の空間を愉しんでいました。

そして、竹田高校書道部のみなさんの、真剣な制作風景。
恥ずかしそうながら自己紹介するものの、次第に言葉に熱がこもり、書道への情熱がひしひしと伝わってきました。

竹田高校の「アーティスト」とふれあえたことも、TAKETA ART CULTUREの大きな収穫でした。

TAKETA ART CULTURE 2017をめぐるツアーはここで終了。
名残惜しそうに城下町を歩き、御客屋敷前。

実はここで終わりではなく、アレックスさん監修の夕食ディナーを御客屋敷でふるまいます。
期待を膨らませつつ、準備のためしばしの解散となりました。

※【】【】【下】と進み、次はいよいよ最終4本め、【番外】です。

文:藪内成基
写真:藪内成基、堀場さくら、山下歩、吉峰拡

「アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー」開催概要

[参加者募集:10/14・15]アレックス・カーとめぐる城下町竹田アートツアー

田能村竹田や瀧廉太郎を輩出した大分県竹田市には、今なお、偉大な先人の感性を育んだ豊かな自然と城下町の風情が残されています。
昨今は、多くの工芸家や芸術家が移住し、新たな創造の場が形成されています。
2011年秋の初開催から毎年展開し、今年で7年めとなる「TAKETA ART CULTURE [TAC]」には、市内外の作家が一堂に介し、城下町エリア各所にてさまざまな企画が催され、多くの来場者が訪れています。
今回は、竹田市の歴史・文化やまちづくりの現場にも造詣の深いアレックス・カー氏をガイドに招き、城下町とアートをともに楽しむ”まちあるき”アートツアーを実施しました。

[開催日]2017年10月14日(土)・15日(日) ※TAKETA ART CULTURE 2017会期中

[タイムスケジュール]
13:00 JR豊後竹田駅集合
15:00 休憩
18:00 ディナー ※アレックス・カー氏による書道パフォーマンス有り
20:00 現地解散

[アレックス・カー プロフィール] 1952年生まれ。イエール大学で日本学を専攻。東洋文化研究家、作家。
1971年に四国の東祖谷山村に茅葺きの古民家を購入。現在は京都・亀岡の矢田天満宮境内に移築された400年前の尼寺を改修して住居とし、そこを拠点に、日本各地をまわり、昔の美しさが残る日本各地の景観を観光に役立てるためのプロデュースを行っている。
著書に『美しき日本の残像』(新潮社)、『犬と鬼』(講談社)、『「日本ブランド」で行こう』(ウェイツ)など。

[主催] 竹田アートカルチャー実行委員会

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