湧水群、河川プール、作家のアトリエ。【Report:4-5日め】mama!milk「竹田音楽 AIR Taketa 2016」

2016/07/22：４日め

mama!milkのおふたりを竹田の湧水群へご案内したい。そう思っていたもののタイミングを失っていました。そんななか、竹田市在住のアーティスト、竹下洋子さんが制作拠点にお立ち寄りくださり、おふたりに泉水湧水に行くよう勧めてくださいました。セミが鳴き止む夜の時間の湧水地行きを検討したものの、マムシに遭遇する可能性もあり夜間の訪問は断念、早朝に行ってきました。【水】がモチーフの楽曲のための録音です。夏休みのこの時期の昼間は子どもたちでいっぱいになる、湧水による河川プールにも立ち寄りました。

■泉水湧水（竹田湧水群）

http://www.taketan.jp/spots/detail/48

■河宇田湧水（竹田湧水群）／中島公園河川プール

http://www.taketan.jp/spots/detail/94

今回の作品の最終的な完成予定は2016年11月。冬の足音が聞こえる「たけた竹楽」の時期を予定しています。そのため「音源がひとつの季節を限定しないためにはどうしたら良いか」と、録音の時間帯や場所が自然と決まっていきます。

竹田・入田エリアの湧水群に続いて向かったのは、TSG竹田総合学院（略称TSG）。TSGは使われなくなった元中学校を、クリエイターのアトリエとして使っている竹田市が運営する施設で、竹田市在住の竹藝家・中臣一さんはTSGの立ち上げ当初から工房として使っています。

■TSG竹田総合学院

http://www.taketan.jp/spots/detail/758

中臣一さんは、竹田在住の竹作家さんたちと一緒に、竹田の竹を自分たちの手で伐採し、竹材を生み出す活動をはじめています。その一環で、中臣さんのアトリエの一画には、これから竹材となる「竹田の竹」がストックされています。「竹田の竹をの音を録音したい」。６月の制作準備でmama!milkのお二人が来竹した際に、TSG竹田総合学院にある竹作家・岩田淳子さんのアトリエを訪れ、竹をたたくと、木琴のように異なる音階の音が出ました。

音源がひとつの季節を限定しないように、セミの鳴き声は入らないように。中臣一さんがアトリエとして使っている部屋は元音楽室。練習室は戸を閉めるとほとんど外の音が入ってくることがありません。アトリエが本格的に動き出す前の、セミの大合唱がはじまる前の、朝の時間を拝借し録音しました。

 

昼間に「竹田踊り」で使われる竹のカスタネットと「サンチャゴの鐘」をたたいた記録音源が制作拠点に。ともに竹田市役所に協力のお願いをしていました。「サンチャゴの鐘」の音源は、今回のプロジェクトのために特別にお借りすることができました。この場を借りし御礼申し上げます。

前夜に録音した禅寺・碧雲寺の鐘の音と「サンチャゴの鐘」の記録音源。並べて聞くと、「サンチャゴの鐘」の音の方が和風に聞こえて不思議でした。

竹田の【鐘】をテーマに、オルゴールの音でmama!milk生駒さんの手により編曲されたグレゴリオ聖歌「O Glorisa Domina」と、「サンチャゴの鐘」、碧雲寺の鐘の音が出会います。

 

2016/07/23：５日め

竹田・久住に昨夏、吹きガラス工房 magma glass studio ができました。工房では国内外のギャラリーや百貨店で展示販売されるガラス作品を制作しているほか、吹きガラス体験ができるワークショップも行っています。吹きガラス工房を主宰する井上愛仁さんから「竹田の竹をつかってつくったガラスの風鈴を音源に加えるのはいかがですか？」と提案をいただき、作品を借りに久住の工房に行ってきました。

■吹きガラス工房 magma glass studio

http://www.taketan.jp/spots/detail/828

井上さんによると、竹にはガラスに入っているものと同じ成分が入っており、相性が良いとのこと。【竹】をモチーフに制作している瀧廉太郎『メヌエット』に合わせて、風鈴の涼やかな音も音源のひとつに入ることになりました。

magma glass studioでは、２年めとなる今年は、工房がある「竹田」に焦点をあてた作品に焦点を当てています。竹をつかったシリーズ「かぐや」に加えて、竹田・直入の長湯温泉の炭酸泉の泡をグラスにふくませた作品群など、精力的に制作されています。

竹田だから手にできる作品たちに出会いに、是非magma glass studioを訪れてみてください。

 

 

mama!milk 「竹田音楽 AIR Taketa 2016」

主催：竹田アートカルチャー実行委員会　／　共催：大分県

滞在制作概要

日程：2016年７月19日（火）～26日（火）

制作拠点：姫野一郎商店さん前（仮：大分県竹田市大字竹田町233-1）

制作拠点を中心に、竹田市内各所でフィールドレコーディングを予定しています。フィールドレコーディング等により、制作拠点に不在の場合もありますが、是非ご自由にご覧ください。制作された楽曲は11月に美術作品になります。

【終了しました】　■公開試聴会■　是非お気軽にお越しください。

日程：2016年７月24日（日）15:00～18:00

会場：姫野一郎商店さん前（仮：大分県竹田市大字竹田町233-1）

試聴無料

mama!milk（ママミルク）

http://www.mamamilk.net/

生駒祐子（アコーディオン）、清水恒輔（コントラバス）による、インストゥルメンタル・デュオ。京都を拠点としており、世界各地の古い劇場、客船、廃墟、寺院、美術館等でのサイトスペシフィックな演奏を重ね、異国情緒溢れるその音楽は、クラシカルな香りと新鮮さをあわせ持ち、「旅へいざなう音楽」「 Cinematic Beauty 」「まだ見ぬ映画のサウンドトラック」、あるいは「Japanese New Exotica」とも評されている。

艶やかなパフォーマンスに定評のあるコンサートでは、アコーディオンとコントラバスのシンプルなデュオから、ゲストを迎えてのトリオやセクステットなど様々なスタイルによる演奏で、自作曲をより深化させてきた。

作品ごとの音づくりに定評があり、アートワークも注目を集めている。